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地獄谷温泉
後楽館

TEL 0269-33-4376

宿泊料金　 ￥12,855　（二食付）
日帰り入浴　￥500，8:00〜16:00

後楽館は、野猿公苑に近い地獄谷温泉の一軒宿。横湯川沿いに建つ木造二階建て、山荘風の秘湯を守る会の宿です。

通された部屋は２階の八畳和室でベランダ付。やや鄙びてきた部屋です。なお、ここは部屋鍵がユニークで、しゃもじにキーを付けています。

また、この宿にはいたるところに英語の注意書きが貼ってあり、理由は、露天風呂にやって来る猿目当ての外人客が多いからだそうです。

先ずはお茶を飲み、ここの名物のちまきをいただいて一服。二重の笹で包み込んだ温泉ちまきがお茶に合い、びっしり詰まっていて、間食代わりになります。

浴室は階段を下った先にあり、脱衣所は狭いものの15庫の脱衣箱を備えています。引き戸を開けると板張りの内風呂で、2.5×1.2m ほどの湯舟一つがあります。湯舟には源泉の他、そばの蛇口から轟々と音を立てて冷水が注がれていて、その他、洗い場の蛇口からもホースを介して加水されています。
露天風呂から上がってきた日帰りの方によりますと、あまりに熱いので、管理のおじさんに頼んでうめてもらったそうです。

最初に湯口からのお湯を飲んでみますと、ほぼ無味ですが、ちょい硫黄臭味があります。入らせてもらったお湯は、かなり加水されていたせいか湯温38℃。ぬるめですが柔らかくて肌触りのいいお湯で、湯面からは硫黄臭が漂ってきます。

この内風呂には夕食後にも入湯し、この時もかなり加水されていましたが、湯温が44.5℃あって熱い！　源泉が高温とあって　洗い場蛇口からの加水を止めるとかなり熱くなるようです。また、高温湯の掛け流しとあって、特に表面が熱く、入った途端にぴりぴりきます。お湯は新鮮で、腕をさすると滑らか。でも、やはり熱くて、少し入って退散しました。

続いては、冬場の雪の日に地獄谷の猿が入浴しに来るという露天風呂のお湯をいただきます。内風呂の扉を開けると二槽の露天湯舟があり、手前が大きめで、長く伸びたひょうたん形、そして奥に台形の湯舟があります。また、右手に目を移すと、川越しに音を立てて噴気が上がる、大噴泉が圧巻です。

先ず入らせてもらったのが奥の湯舟で、お湯はきれいな澄明湯。お茶殻に似た湯花が舞っています。ここは。手前の源湯枡からの新湯と、ひょうたん形の湯舟からのオーバーフロー湯が入ってきていて、湯温は39.2℃とぬるめ。ゆったり浸かるのにいい湯加減です。温泉成分で染まった湯底とは裏腹に清浄感たっぷりのお湯で、滑らかさと張りがあって、いい心地です。

ひょうたん形の湯舟は３つの湯口からお湯が注がれていて、底の一部に玉子スープ状の湯花が張り付いています。こちらも綺麗な澄明湯で、湯温は44℃と熱め。特に表面が特に熱めです。でも新鮮で滑らかな掛け流し湯とあって、そこそこ長く入れました。

☆ 食事と朝湯

６時からの夕食は、玄関の向かいにある食堂棟にて。
献立は、
・茶碗蒸し
・丸々太った岩魚の塩焼き
・ここで養殖しているというテラピアの洗い
・山菜の天ぷら
・茸の胡麻和え
・野沢菜
そして、メインの鴨鍋が膳にのっています。

先ず、こりっとしたテラピアの洗いが珍味。具が沢山入った鍋も暖まって美味しく、ラストは玉子を添えた雑炊で仕上げ。鴨の脂がのった雑炊をたっぷりいただいて、いつもとは異なったワイルドな夕食を楽しみました。

翌朝は６時に起床し、先ずは朝湯。内風呂を抜けて露天風呂への扉を開けてみますと、三匹の猿が抱き合って寒さをしのいでいます。写真を撮ったものの、近寄ってなおカメラを向けますと、一匹が怒りの形相で追いかけてきます。急いで内風呂へ逃げ込みましたが、この時に腕をすりむいてしまい、痛っ！　家族連れの猿はやはり怖いですね。

内湯は湯温44℃と熱めですが、滑らかで芯のあるお湯。細やかな白い湯花が舞っています。
この後露天風呂に出てみますと、明るくなってきたせいか猿も退散していて、湯温42.2℃のお湯にゆったり浸かれることができました。湯面の一部はシャボン玉状に泡立ち、沈殿していた玉子スープ状の湯花が上がってきて、浴感も上々のものがあります。

７時半からの朝食は、焼き海苔，温泉卵，蒲鉾，わさび漬け，野菜サラダ，湯豆腐がおかず。温泉湯による湯豆腐、茸と豆腐がたっぷり入った味噌汁が暖まって美味しく、食が進んでご飯を三杯いただきました。また、食後のコーヒーもよく、いい朝食でした。

宿泊料は、部屋・食事からみて高めに感じましたが、お湯がよく、猿に似た（失礼）管理の方の話が面白く、楽しめた宿でした。

（2009/03/08　15:55 Check-in, 前回 2003/06/06 宿泊)


〔源泉名〕延命の湯
〔湧出地〕長野県下高井郡山ノ内町大字平穏6618
〔泉　質〕Na・Ca−硫酸塩・塩化物泉
〔泉　温〕72.9℃（気温9.5℃）
〔湧出量〕54 L/min（自然湧出）
〔知覚的試験〕無色透明・弱硫黄臭・弱苦味
〔水素イオン濃度〕pH 6.8
〔蒸発残留物〕1,200 mg/kg
〔成分総計〕1,269 mg/kg（Na: 190, K: 20, Mg: 19, Ca: 120, Cl: 250, SO₄: 450, HCO₃: 2.2
　　　　　　　　　　　　 H₂SiO₃: 180, HBO₂: 6.3, CO₂: 6, H₂S: 0.5 mg/kg）
　　平成18年4月26日分析
〔浴場の形態〕男女別内風呂，混浴野天風呂，女性専用野天風呂，家族風呂
〔公共交通アクセス〕長電バス 上林温泉口下車 徒歩約 30分